恐怖怪談集0004

金縛りレポート


 以前、Sさんが金縛りにあった時の体験談を掲載したが、こんどはFさん自身の体験を掲載したいと思う。
「金縛りのレポートを掲載してほしい」との要望があったので、掲載することにした。

 Fさんの小学校時代の事。幼少の頃から、不思議な事、特に幽霊関係が大好きだった彼は、その手の本を読みまくっていた。
 そして、ふと思う。これだけオカルトマニアな彼が、実は「心霊体験」をした事が一度もないのだ。これはいかん。何とかして、怖い体験をしなければならん。UFOでもなんでもいいから私をさらってくれ、などと、自虐的な事を考えていた。

 そうこうして、何年かが過ぎた。高校2年生の冬。彼にも転機が訪れた。金縛りにあったのである。

 その日、勉強もろくにせずに、結成していたオカルトサークルの会報を一通り作り終えた彼は、夜11時頃眠りについた。その頃の彼は実家住まいで、部屋は6畳、狭い部屋にベッドはなく、布団を敷くと押入れが足元、窓が枕元にくるような形で寝ていた。

 寝苦しさなどなかった。爆睡していた彼は、突然の強烈な身の硬直感で眠りから起こされる。

・・・・・・・「????????」

 彼はとても焦った。脂汗がたくさん体をつたう。体に圧迫感はなく、誰かに押さえつけられているというよりは、死後硬直のように硬くなっていた、という感覚だった。

 それでも、目は自由に動く。不思議にまぶたを開けているという感覚はない。体はもとより、頭は全く動かないのに、窓側、押入れ側、自分のデスクと、はっきり見える。360度視界はクリアなのである。

 そして、足元からただならぬ気配と、耳鳴りがした。
押入れに目をやってみると・・・・・・・・・・・

半分ほど開いた押入れから、首だけの鎧武者がこちらをキッ!!と睨んでいたのである!!!

 彼は驚きのあまり、叫ぼうとした。が、しかしアゴと唇が全く動かない。「ぷーっ!!ぷぷぷぷぷーっ!!」と、よく分からん奇声しか上げることは出来なかった。
 人間は窮地に立つと、我を忘れる。Fさんは心の中で叫んでいた。「おかあさーん!!!」と。(苦笑)
そういえば、戦争当時、旧日本軍の兵士が被弾して戦死する間際、叫んだという。「おかあさーんっ!!」と。
いい大人なのに。今際の際とは、そういうものなのかもしれない。

 この瞬間、彼の意識はこと切れた。・・・・・・暫くたったのだろうか、何もなかったかのように朝を迎えたのである。押入れのふすまは・・・・・閉まっていたという。