身の回りの怪談0008

Kさんの話 


Kさんが中学時代に体験した話です。

体育祭の季節、足が速かったKさんはリレーの選手に選ばれ、体力造りをする為

朝早く起きては近所をランニングしていました。

丁度、隣の家に住む友人のAさんも同じリレーに出る事になっていたいた為、

誘い合って、一緒に走ろうという約束をしました。

二人の家は隣り同士で造りが似ていて、

お互い、部屋が二階のベランダに面していました。

だから、玄関をまわって誘うよりベランダに出て声を掛ける方が手っ取り早いので

Kさんははベランダに出てAさんを誘っていました。

そんな在る日、いつものように、ベランダに出て声を掛けました。

暫くすると、隣のベランダからAさんが干してある洗濯物を掻き分けて顔をだしました。

Kさんは、それを見て息が止まりそうになったといいます。

もう、怖くて怖くて悲鳴も出なかったそうです。

洗濯物を掻き分けて出てきた友人のAさんの顔は

真っ黒で目や鼻や口が無かったそうです。

Kさんは、声も出せず息を呑んで部屋に戻り、暫く放心状態でいました。

気持ちを落ち着かせ、学校に行かなければならないので

怖かったけれど、いつも一緒に登校しているAさんの玄関のチャイムを鳴らしました。

するとAさんのお母さんが出てきて、Aさんを呼びに行ってくれました。

暫くすると、友人のAさんも登校の為出てきました。

Kさんは、「今朝も誘ったんだけど・・・」

と、話すとAさんは、「今朝はどうしても起きれなくて・・・」と。

Aさんが言うには、起きないといけない!と頭の中で考えながら、

体が起きることができなかったらしいのです。

Kさんは、ふと、ベランダを見上げてみました。

そこには、さっきあった筈の洗濯物もなかったそうです。

友人Aさんには、とても言えなくてその事は話さなかったままだそうです。