恐怖怪談集0009

閉店間際の客 


これは、ある飲食店に勤める知り合いに聞いた話です。

 もう客も居なくなり閉店時間になった深夜、
 
従業員数名で、いつものように店の後片付けと、

 簡単な清掃をすることになった。
 
空になったボトルやビール瓶などの整理、

 トイレ掃除や店のテーブルを拭いたり、

洗い物をしたりと、手分けして清掃をしていた。

 店のドアは開け、空気の入れ替えもしていた。
 
店内を清掃していた従業員の一人が、開けっ放しのドアから見える
 
すぐ側にある電信柱の影からこちらを覗き窺っているの男に気付いた。
 
入って来る様子もなくただ覗き窺っているだけだ。
 
少し気になったものの、そのまま後片付けを続けていると、
 
その男が店内に入ってきたのが分かった。

 従業員の一人が、片付け物をしながら、
 
「すみません〜ん。もう、閉店なんですぅ。」

 そう言うと中に居た数名の従業員が同時に男の方を見た。

 そこに居た男は、顔だけだった。

首から下がない・・・。


 そこに居た従業員全員が

「キャーーーー!!」


と、悲鳴をあげると同時に男は消えた。