恐怖怪談集0012

Uさんの話 2


 高校2年の夏、Uさんはある夜、金縛りに遭った。

 金縛りと同時に、おかっぱ頭をした同年代の女の子が現れ、寝ているUさんの右肩に乗ってきた。

 女の子の顔は、ぼやけてはっきり分からない。 

 ただ、その女の子が何かを訴えているように思った。

 Uさんは自分は何も出来ないと心の中で思い、必死でもがいた。

 暫くすると女の子は消え、金縛りも解けた。
 
 翌朝、母親に昨夜の出来事を話した。

母親は少し心配していた。

 Uさんがそのような体験をすると何か起きる事があったので、

Uさんも何となく気分がすぐれなかった。
 
 その日の午後・・・
 
 同じ高校に通う Y君が勉強を教えて欲しいと、Uさんの家に来る予定になっていた。
 
ところが、その Y君から 「今日、行けなくなった。」 と電話が入った。

 Uさんは Y君の事が好きだったので、少し残念な気持ちで来れない理由をたずねた。

 Y君は・・・「幼馴染みが交通事故で亡くなってん。お母さん同士も知り合いで・・・
 だから、お通夜に出るねん。」
 
Y君は沈んだ声で事故の内容等を色々話してくれた。

・・・・・ UさんとY君が通っている高校の同級生が、

家族旅行の帰り、玉突き衝突事故に巻き込まれ、車が炎上し、

数名が死亡する惨事となった。

 その事故はニュースにも流れるほどの大きな事故だったと・・・。


 Y君の母親と亡くなった子の母親とは、古くからの知り合いだったらしい。

 Uさんにとっても、同じ高校の同級生となると、亡くなった子が誰なのか気になった。

Uさんは、「亡くなった子って男の子?女の子?なんて名前の子?」
  
 Y君は、「 I さんっていう女の子・・・。○池幼稚園から高校までずっと同じやってん。」
 
 それを聞いたUさんは少し驚いた。
    
 「 え!私も○池幼稚園やで。 」 

 Uさんは彼に続けて質問した。
   
 「 幼稚園・・・何組みだった? 」

 聞くと、Uさんと Y君はクラス同じだった。
  
 お互いそんな話は今まで出なかったので、その時初めて知ったらしい。  
  
 Uさんは、母親に幼稚園時代の写真を出してきてもらった。

 クラスの集合写真には、

Uさん、Y君、そして亡くなった女の子の I さんと三人が並んで写っていた。
 
 その時、Uさんは思った。

 金縛りに遭った夜、何かを訴えるように現れた、あの、おかっぱの女の子は

 亡くなった I さんだったのではないか?と・・・。
 

 夏休みが明け登校した日、

 Uさんのクラスでも先生の方からその悲しい報告があった。
 
I さんはとても生真面目な子で外出時は、生徒手帳を持ち歩いていたらしく、

事故当時、身元を判明させたものは

 炎上して焼けた車内から、高校名などの部分だけが焼け残っていた生徒手帳だった事、
 
I さんは、美術が得意な女の子だったらしく、その事故に会う前に作成した作品が幾つか出てきた。
 
 その作品は何故か蓮の絵だったり、木でを彫った仏像だったらしい。