恐怖怪談集0013

源氏の滝


知り合いの友人が体験された話なのです。

今からもう随分古い話で、20年程前の話になると思います。

友人カップルはある夜、彼と二人でドライブに出かけました。

色々まわった後、二人は源氏の滝という所へ向かい、

滝近くに車を止め、車内で会話していたそうです。

会話を始めてどの位経った頃でしょうか・・・

突然、車のトランクを凄い勢いでドン!と押されました。

その時、車が揺れたそうです。

驚いて後ろを振り返ると誰も居ません。

誰かの悪戯だと、腹を立てましたが、また、二人は会話を続ける事にしました。

暫くすると、またドン!と物凄い勢いでトランクを押され車が揺れました。

これには、とうとう腹を立てて、文句を言ってやろうと車外に出たのですが、

出てみると誰も居なかったのです。

二人は気持ち悪くなり、ここからもう出ようと車内に戻ったその時、

・・・・何処から現れたのか?

車の脇を、すぅぅぅっーーと女が通っていき暗闇に消えたそうです。

この場所は、車一台が通れる程の道幅しかなく、

脇にはすぐ川が流れていて、

車の脇を人がスムーズに通れる程のスペースがなかったそうです。

当時、この話を聞いた私は友人とその場所まで見に出かけました。

友人にはこの話を知らせないで・・・・。

友人に運転してもらい、その場所を探しながら到着した時は、もうすっかり夜でした。

私たちはカップルが、女を目撃したと思われる場所に車を止めました。

そこは、とても異様な雰囲気がありました。

私は運転席の友人に話しかけてましたが、友人は何も答えません。

友人を見ると、強張った顔で辺りを見回していました。

体は固まったようになり、目だけがじーーっと・・・・。

その表情が段々と険しくなっていき、

私は、友人には何かが見えているのではないか?

怖くなり、助手席でズルズルと身を沈めて外を見ないようにしていました。

すると友人は、

「・・・・・ここ何やぁぁぁ?!」

そう小さな声で言うと・・・・・・

突然、凄い勢いで車をバックさせ、

初めて来たその場所を、逃げるように車を走らせたのです。

暫く走ると、友人は車を止めて、

「なんか、いっぱい、こっち見てた。」

そう言いました。

友人は、何か得たいの知れない存在を感じたようでした。

それから、数年前に訪れてみると、辺りは随分変わったように思いました。

現在は道幅も少し広がったようで、川なんかも整備されています。


現在の様子を紹介していますので、そちらをご覧ください。