身の回りの怪談0007

車の中に居たモノ


当時、長男と二男がある習い事をしていた。

そこは、自転車で通うには少し距離がある場所なので、

私は週に二日二人の送迎をしていた。

習い事の時間は夜の7時から9時迄。
 
だから、いつも夕方6時半頃、自宅を出る。

 それに当時4歳の娘が時々付いて来ていた。

その日もいつものように送って行き、

そしてその帰り道・・・

時間は7時過ぎ頃だったと思う。
 
 通う道はバス通りで少し混んでいた。

娘は後部座席に座っていた。

娘と特に会話する事も無く二人とも無言で車内は静かだった。

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突然

 「見やんといてぇぇ!!」

何かを振り払うように私の方へ手を伸ばしてきた


「!!!何?」


 丁度、信号待ちで車は停車しかかっていたので私は後を振り返り、

 「どうしたん?お母さん何もしてないよ。ずっと運転してたやろ?!」

 そう言うと、自分でも何があったか分からないようなキョトンとした顔で

次に、少し私に対して気まずそうな顔をした。

 私ではないと理解したみたいだ。

 何を見たのか?・・・眠っていて夢でも見たのか?

 まだ幼い娘に聞いても本人自体動揺していてはっきりしない。

次の信号待ちの時、何があったのかもう一度聞いてみた。

 娘は運転席のシートを指差し、

「ここに髪の毛あってん。・・お母さんみたいな顔があって、
こっち見ててん。」

 
「なんじゃそら?!!

とにかく自宅に着いたら詳しく聞いてみる事にした。

自宅マンションの駐車場に着き、もう一度娘に詳しく聞いてみた。

娘が説明してくれる内容だけで言うと・・・・

俯いていたら何か覗かれている気配を感じたらしく、前を見ると、

自分の前に髪の毛があったと言う。

髪の毛が先に見え髪の毛の中に顔もあったという。

娘は私が覗きこんできたと思ったらしく、瞬間的に手で払おうとしたみたいだ。

顔があった場所を(運転席シートの裏)どう見えたか手で説明もしてくれた。

眠っていたのではないか?と思い聞いてみたが眠っていないと言う。

まだ幼い子の事だから車に揺られてるうちに少しウトウトし、

夢を見たのかもしれないと思いたいが・・・・・・・・・・・・。