身の回りの怪談0009

車に乗っていたもの 


あれ以来

夜一人で運転してると、時々後部座席が気になる事もあったけど

時間と共にそれも薄れていった。

 ・・・・・・当時乗っていたボロボロの車も暫くして廃車になり

軽自動車だけど新車に変わった。

心配だった高速道路も安心して走れるようになった。 


新車を購入して半年程してから、ある事情で私は週に一度、

自宅から1時間半から2時間程掛けて通院していた。

途中、高速道路も利用するので以前のボロ車だったら

不安で仕方なかっただろうと思う。 


 通院への道のりはいつも私が運転し、助手席には主人が同乗していた。、


 ・・・・・その日は天気も良く、渋滞にも引っかからず、

二人、会話をしながら快適に走っていた。

 高速道路を走行途中、丁度会話が途切れた時、

ドンドン!

と 後部座席右側から音がした。

 結構はっきりと聞こえたので、すぐに反応し、

二人同時に顔を見合わせた。

 それは、外から車体を叩いたような音に感じた。

・・・・・何か飛んできて当たったのか?

・・・・・・・・・・・・

 後部座席やトランクには何も積んでいないし・・・・・。

外で何か当たったというものやっぱり無理がある・・・・。

結局何も分からず、それ以上この話はしなかった。

・・・・後で車を見てみても何も変わったことはなかった。

・・・・ それから次の週

同じルートでその場所に向かった。

 いつものように私が運転手。

この日、主人は持って来たデジカメで車中や外の景色をビデオ録画していた。

 デジカメだったので長時間録画は出来ないので、

気になるものがあれば撮るといった感じだった。
 
 あるトンネルが近づいて来た時、「何か撮れるかも?」と言い録画の準備をしだした。                    

 そのトンネルは事故が多く出ると言われている天王山トンネルだった。 


 トンネルに入る直前から録画を始め、トンネル内の壁を撮っていた。

 私は「私を撮ったら何か写ったりして・・・」などと言ったみた。

 その言葉に・・・「そうかぁ?」

 そう言って運転している私にカメラを向けた。

 ・・・・・・・・・・・・ 


自宅に帰り、録画したものをパソコンで一緒に見る事にした。

 ・・・・・・・・・・・

 高速道路から見える外の景色・・・・・・

・・・・・・・運転している私の横顔・・・・

・・・・・・・トンネルの入り口・・・

 トンネル内・・・・・・トンネル内の壁・・・・そして、また運転してる私・・・・

?・・・一瞬だが、何かが映っていた。

 ・・・・・「今の何?!」

 運転している私の後部座席の方から、

黒い影が突然現れ、次に

 私に被さる様にしてすり抜け、フロントガラスから斜め上に昇る様に出て行った。

 ・・・・・・・・・・・・

 繰り返し何度も何度も見てみた。

後部座席から突然現れた黒い影は・・・・

人の上半身に見える。

出て行く時には長い髪がなびいている様に私には見えた。