身の回りの怪談0014

暫くして


 光や影を見てからどの位経った頃だったでしょうか・・・

 この話は、引っ越して間もない頃に起こった出来事です。

 深夜、リビングで主人と二人きりで話をしていたのですが、

 リビングの電気は常夜灯を点け、テレビもついていませんでした。

 私達は床に座って話していました。

 私の目の前にはテレビボードがあって、

 テレビボードのガラスに流し台の付近が映っていました。

 話をしながら、何故かそれが気になり、じっと見ていると

 何か白い塊が上下に動いているように見えました。

 すぐ後ろを振り返り流し台の方を見たのですが、

 いつもの風景で何もありませんでした。

 気を取り直して、又会話していると、

 突然、左耳の中で、もの凄い音がしたのです。

 ボアボアボアボボボボボオー

その音は耳の中で響いていました。

 言葉では表現出来ないような音・・・・耳鳴りとかそんなんものでもなく・・・

 とにかく言葉では表現出来ない・・・。

 私はさっきの事もあるので、

 何か得体の知れないモノが自分のすぐ傍に居るのではないかと怖くなり

 音が続く中悲鳴をあげていました。

 あまりの怖さに涙が出てきました。

 一緒にいた主人が何事かと驚いて聞いてきました。

何とか私が落ち着きを取り戻し説明をしている最中

 ジャーーーー

 今度は水道の蛇口から水が流れ出たのです。

 全開で出したような勢いはないのですが、

それは蛇口をひねらないと出ないような流れ方でした。

 私も主人もすぐ見に行けず、呆然とそれを見ていました。

 暫くして主人が立ち上がり水道を止めに行ったのですが・・・・

 「蛇口、ちゃんとしまってる。」

そう言いながら、しまっている蛇口を無理矢理しめていました。

水は止まらない。

 その場で暫く様子を見ていると、ようやく水は止まってくれました。

水道管に溜まっていたものが出たにしては量も時間もありえないものです。

勿論壊れていないですよ。