身の回りの怪談0015

トンネルの怪 


私達の住んでいる隣町に旧○○トンネルがあります。
 
心霊スポットで紹介されているその場所は、私が子供の頃から噂されていました。
 
小学生の頃にはそのトンネルについての怪談を友達と話したりもしました。

近くに住んでいると、ネットや雑誌などで、心霊スポットとして紹介されていても、

特別珍しくも感じていなかったので、わざわざ行こうと思わなかったのですが、

主人が行ってみたいという事で、二人で出掛ける事になったのです。
 
懐中電灯とカメラを持って車で10分程走りそこへ到着しました。 

近くに車を止め、懐中電灯を片手にトンネルに向かい歩いていきました。
 
犬が大の苦手な主人は野良犬との遭遇を恐れながら、

暗闇が苦手な私は足元に気を取られながらと進んでいったのです。

そこは子供の頃の記憶と違って住宅が沢山立ち並んでいました。

トンネルもその周りの風景も子供の頃に見た記憶と変わっていました。

トンネルの側には電灯が点いていて明るく、柵がされて中に入れなくなっていました。

私は柵の隙間に耳を向け、吹いて来る風の音や温度を意識しながら

暫く無言でいました。

その間、主人は何か独り言を言いながらトンネルの写真を撮っていました。

暫くして、トンネル脇道の草叢の方へと進んで行くと、

もうトンネル付近の電灯が届かなくなって、先が暗くて見えにくく、

持って来ていた懐中電灯で、足元を照らしながらゆっくりと進んで行きました。

すると、前方の暗闇の中に黒い影のような塊があるのが見え、私は立ち止まりました。

その黒い影は、丁度人が屈んだ位の大きさで、

誰かそこに居るのではないか?と思うような感じでした。

目を凝らして暫く見ていると、それは微かに左右に動いていました。

私が「何かいてるぅ・・。」と言うと
 
主人も「・・・・・犬ちゃうかぁぁ?」と。

主人にもそれは見えていたようでした。
 
怖くなった私は後ずさりして暫く様子をみましたが、

そこに留まって様子を覗っていた主人が

もう一度見に行こうと小声で私を呼びました。
 
どうやら、犬ではない事は分かりました。

黒い影があった場所を懐中電灯で照らしてみると、墓石らしきものが見えました。

私は墓石を黒い影と見間違えたのか?

と一瞬思ったのですが、影は動いていたので、違います。
 
「さっきの影・・動いてたよなぁ・・・?」

「うん、動いてたなぁ・・・この辺やんなぁ?」

私達は黒い影が見えた場所まで行き、辺りを見回して見ました。

やはり、墓石等がいくつか並んでいるだけでした。

結局、動く黒い影の正体は分かりませんでした。

私は少し怖くなりこれ以上先には進めないと思っていたのですが、

その先の石の階段を、先々上って行く主人に、置いて行かれる方が怖いので、

仕方なく私も付いて行くことにしました。

暗闇がよく見えない私は・・・・・

(こんなとこで、何か出て来て、びっくりしたら絶対落ちるなぁ・・・)

そんな事を考えながら、大して長い階段でもなかったのですぐ上り切ったのですが・・・・
・・・・・・・・・・
その先にある小さな社には電気が点いていて、

どうも人が居るようだったので叱られる前に帰る事にしました。

それから、暫くして、我が家である怪現象が、起こったのです。