恐怖怪談集0017

さまよう無念・・

 
Y子さんが「とうとう見てしまった。」と話してくれた体験談です。

Y子さんの住むマンションは3LDKの分譲マンションなのですが、当時5才くらいの長男と

3才くらいの長女と三人暮らしでした。

Y子さん達は、リビングのすぐ側の部屋に、子供達の二段ベッドを置き、

Y子さんはその横に布団を敷いて三人で寝ていました。

ある深夜、長男が「お母さん、おしっこぉ」と声を掛けてきたので、

Y子さんは布団の中から「いっておいでぇ」と返事をしました。

長男はベッドから降りてトイレの方へと行きました。

暫くすると、すぐ側のリビングのドアが、

ギーコー、ギーコー、ギーコー、ギーコー、ギーコー

と鳴っているので、トイレに行った長男がリビングのドアを開け閉めして、

ギーコ、ギーコと鳴らしているのだと思い、それを聞きなが、

(あの子、何やってんねんやろぅ?・・・

・・・リビングのドアの建て付けが悪くなってるの、オイルか何か、さしたほうがいいかなぁ・・・。)

そんな事を思っていたそうです。

その音は暫く経っても止まず、Y子さんは段々、その音にイライラしてきました。

「うるさいな!いつまでやってんねん!」と、起き上がり、

長男を叱ろうと思ったのですが、ふと、隣の二段ベッドを見ると、

長男はもう戻ってきて、スースーと寝息を立てていたのです。

Y子さんはギョっとしました。(・・・泥棒?)

とても怖くなりましたが、子供達は自分が守らなければと思い、

片手に棒を持ち、寝室をそっと出て、リビングのドアが見える所まで、少しづつ近づいて行きました。

リビングのドアの開け閉めする音は、もう鳴り止んでいました。

そっと、リビングの方を覗いて見ると、リビングのドアが全開になっていたのです。

(やっぱり開いてる・・・寝る前には閉めた筈なのに・・・。)

Y子さんは息を殺しながら、リビングドアの方へ、そっと近づきました。

リビングドアの向うは、廊下があって玄関へと続いていています。

Y子さんは、玄関の方を見ました。

そこには、水色の服を着た、セミロングの髪の女性が、玄関の扉を開け、今、まさに出て行く瞬間でした。

Y子さんはおもわず「待って!!」と叫び、手を伸ばしたそうです。

その女性は玄関から出て行ったのか?消えたのか?姿がなくなっていました。

Y子さんは、次の瞬間我に返り、・・・・おかしい・・・・鍵はかかっているし、

ドアも閉まった音がしなかった。・・・・・

いったい今、自分が見たものは・・・・?!


一方、このマンションのY子さんの住む階付近で女性の霊の目撃が少し前から噂になっていました。

(次ページに続く)