身の回りの怪談0024

 二人目の目撃者


ある日、長女が一人でお風呂に入っていた時の話である。

お風呂から上がって来た長女は

「洗面所に貞子みたいなんおった!」

と上がってくるなり言い出した。

(風呂場の扉を開けると洗面所がある造りになっている)

私は「・・・そうなん?」と言い、長女の話を本気で取り合わなかった。

長女が本当に貞子のような女を見たのなら、その時点でもっと大騒ぎするだろうし、

子供が何かの錯覚を大袈裟に言って

幽霊を見たかのように話しているだけなのだと思ったからだ。

それから、暫くして・・・・

長女はいつも一人でお風呂に入るのだが、

一緒に入って欲しいとせがまれ、久しぶりに長女と一緒にお風呂に入っていた。

風呂場で色んな話をしてくれるのだが、当時、長女は一緒に入る度にいつも同じ話をしていた。

一人でお風呂に入っていると時々風呂の磨りガラス越しに人影が見えるというのだ。

私も似たような経験がある。

大抵は気のせいだと思うようにしているが、

何度かその影が動いたように見えてドアを開けた事もある。

しかし、そこには誰も居ない・・。

以前、長女が見たという貞子似の女の話になった。

今更ながら私はその時の状況を詳しく聞いて見た。

長女の話によると、体を洗っていると、風呂場の磨りドア越しに人影が見えた。

気になり、ドアを開けて見ると・・・

白っぽい服を着て長い髪を垂らした貞子のような女の人がそこに立っていた。

怖くなって慌ててドアを閉めた。

少し時間を置いて、もう一度ドアを開けて見ると、

居なくなっていた。

一瞬だけであるが、はっきり見えたと言う。

「怖くなかったの?」の質問に、

その時は一瞬だったのでそれほど怖くなかったと言う。

長女はまだ7歳なので本当のところどうなのかは分からないが・・・・・

・・・・・私はふと思い出し、少し不気味さを感じた。

『身の回りの怪談19話』に出てくる長男の話・・・・。

長男が目撃した女が居た部屋と洗面所、風呂場とは廊下を挟んで向かい合わせになっている。

『身の回りの怪談19話』では『髪は長く白いワンピースのような服を来た女』

とだけ表現しているが、

実はその時、長男も「貞子みたいな女の人おってん!」

と言っていたのである。